FDAは、「死亡事例とタミフルの因果関係の評価は困難」としながらも、「異常な事態だ」として、製造元のスイス・ロシュ社と日本の保健当局に詳しい資料の提出を求め、事情を聞く方針だ。
この報告書は、米国でタミフルが承認された04年3月22日から今年4月22日までの間に、日本、米国、カナダで報告された異常例を集めたもので、18日に開かれるFDAの小児科諮問委員会に提出される。日本の事例については、米国でのタミフル承認以前に発生したものも含まれている。
死亡した日本の12人の症状は、4人が突然死、4人が心肺停止、さらに意識障害、急性膵炎、肺炎、窒息が1例ずつあるという。
日本ではこのほか、異常行動などの神経精神医学的症状が31件(各国全体で32件)、薬疹や比較的重い皮膚の異常が11件(同12件)報告された。
日本ではこれまで、10代の2人がタミフル服用後に異常行動を起こして死亡したことが報告されていたが、因果関係については意見が分かれている。2人の死亡は、今月12日に三重県の津市で開かれた日本小児感染症学会で発表され、「異常行動は副作用ではなくインフルエンザによる脳炎や脳症ではないか」との専門家も見方も出ていた。
FDAの基準では、タミフルは1歳以上のインフルエンザ治療と、13歳以上では予防用としても使用が認められている。
日本での異常事例の報告が相次いでいることについてFDAは、タミフルの世界全体の流通量の半分以上を日本が占めていることを指摘したうえで、「日本の基準も米国とほぼ同じ。欧米人と日本人の間で、服用量に対する反応に違いが出るとは考えにくい」としている。