2004年06月01日

【産婦人科医】3割の病院で定員割れ 過酷勤務、不足に拍車


 全国の病院の約3割で産婦人科医師が定員割れしていることが日本産科婦人科学会(会長、藤井信吾京都大教授)の調査で分かった。多くの病院では産婦人科医が3日に1回の割合で当直勤務をしているとみられる。同学会は「産婦人科医になろうとする医師が少ないうえ、過酷勤務が医師不足に拍車をかけている」と分析し、当直勤務の実態調査や改善策の検討に乗り出す。

 調査は1〜2月、産婦人科の専門医が2人以上いて、年間の分べん件数が200件を超えるなどの条件を満たし、同学会から臨床研修施設として認定された全国の828施設を対象に実施した。471施設(57%)から回答を得た。このうち、医師数の多い大学病院71施設を除く400施設の回答を分析した。

 各病院の産婦人科医の定員は2〜14人で、平均4.3人。当直勤務の負担から最低限必要とみられる定員3人以下と、比較的余裕のある定員4人以上に分けて集計した。定員4人以上の240施設中、定員割れしていたのは99施設(41%)。定員3人以下の160施設で欠員があったのは30施設(19%)だった。

 地域別にみると、定員割れの割合が高かったのは北海道の39%、近畿と東北の各37%。最も少なかったのは中国四国の9%だった。

 また、女性産婦人科医の割合は全体では20%程度にとどまるものの、経験5年未満の若手医師の半数以上を女性が占めることも分かった。

 同学会などによると、産婦人科医の中でも、特に人手不足が深刻なのは産科分野。深夜の出産など緊急呼び出しが多いうえ、拘束時間も長く、医師の肉体的、精神的負担が大きい。出産時の医療事故に絡む訴訟が増えたことや少子化の進行を背景に、産婦人科医を目指す医師が減少しているとみられている。

 また、女性医師が結婚や出産などを機に勤務先病院をいったんやめ、その後に復職する場合、勤務の比較的楽な婦人科クリニックや開業を選択するケースも目立っているという。

 藤井会長は「129病院の大半で、産婦人科医が3日に1回の当直をこなしている計算になる。産婦人科医の不足の深刻な実態を社会に知ってもらい、女性医師が働きやすい環境を整備するなどの支援策を講じたい」と話している。

Posted by Naoko at 00:00 | EDIT | コメント (0) | 気になるニュース
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