2004年07月27日

【研究報告】色彩感覚、乳幼児期に備わる…産業総研がサル実験


 人の色彩感覚は生まれつき備わっていると一般に考えられてきたが、実は乳幼児期の視覚体験によって神経回路が発達し、獲得されることを、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)の杉田陽一・認知行動科学研究グループ長がサルの実験で突き止めた。

 物体から目に入る光の波長は、日中と夕方、屋外と室内などで大きく変わっているのに、リンゴは赤く、バナナは黄色く見える。これは、照明光の波長と、物体からの光の波長とを無意識に比較して色を識別しているためで、生まれつきの能力だと思われてきた。

 杉田さんらは、生後2週間のサル4匹を1年間、光の濃淡しか分からない単色光照明で育てた。色を感じる目の細胞自体が衰えないよう、照明の色は1分ごとに切り替えた。その後、見本のカードと似た色のカードを選ばせたところ、正常なサルは赤、緑、青の3グループにカードを大別することができた。しかし、単色照明で育ったサルは、似た色を見分けられなかった。

 また特定の色のカードを選ぶように訓練した後、照明光の波長をずらすと、その分だけ選ぶ色がずれた。物体からの光だけで、色を判断したためらしい。

 こうした色彩感覚の障害は、後で訓練しても回復せず、乳幼児期の体験が決定的に重要だと分かった。杉田さんは「赤ちゃんの生活が昼夜逆転し、いつも同じ室内照明で育つと、色彩感覚の発達が阻害される恐れもある」と話している。

Posted by Naoko at 00:00 | EDIT | コメント (0) | 気になるニュース
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