2006年05月15日

<少子化対策>子育て負担軽減など、政府の専門委が報告書

 政府の「少子化社会対策推進会議」(主宰・安倍晋三官房長官)の専門委員会は15日、出産後に支給される出産育児一時金(30万円)の前倒し支給や、乳幼児期の子育て負担軽減などを盛り込んだ報告書をまとめた。同会議ではこの内容に沿って与党と内容を詰め、6月に発表する政府の「骨太の方針」に盛り込む方針。財源措置については、育児保険や子育て基金の創設などを挙げたが、「社会で負担を分かち合う仕組みを議論していくことが必要」と指摘するにとどめた。

 報告内容を実行するには数千億円規模の資金が必要とみられるだけに、財源確保の観点から実現性を危ぶむ見方が早くも出ている。
 報告は、少子化対策を(1)地域や家庭の多様な子育て支援(2)働き方にかかわる施策(3)経済的支援――の3分野に分け具体策を示した。経済的支援では、日本の制度は欧州諸国に比べ依然として限定的であると指摘。0~3歳までの乳幼児期の子育てについて、新たな手当創設などを念頭に「所得水準が相対的に低い世帯では経済的な負担が大きい」と、支援充実の必要性を訴えた。
 また、出産にあたり「手元に現金を用意しなくても出産ができる工夫が望まれる」と強調、出産後に支給される出産育児一時金の仕組みを見直し、家庭が立て替えずに済む制度への変更を提言した。子育て世帯への税制支援についても「検討を進める必要がある」とした。
 報告書取りまとめの中心となった猪口邦子少子化担当相は推進会議への報告後、記者団に「少子化対策に特効薬はありえない。さまざまな施策の組み合わせが必要だ」と語り、経済支援をはじめ、地域や企業の取り組みを網羅した幅広い内容になったとの認識を示した。【渡辺創】
少子化に関する報告書の主な内容
<地域・家庭の子育て支援>
・子育てマネジャー制度の育成
・地域子育て拠点の拡大
・学生の家庭支援ボランティアの導入
<働き方に関する施策>
・女性の再就職支援
・育児休業の取得促進
・子育て支援に熱心な企業の優遇策
<経済的支援>
・出産育児一時金の償還払い制度見直し
・乳幼児期の負担軽減
・妊娠中の検診費用の負担軽減
・子育て世帯への税制優遇
 ◇財源の裏付けなければ、単なる宣伝
 政府の「少子化社会対策推進会議」専門委員会がまとめた報告書は、乳幼児期の支援充実など経済的支援が中心となったが、費用や財源に踏み込むのは避けた。抜本的な少子化対策には巨額の支出が必要で専門委の議論にはなじまないとの判断からだが、政府・与党が財源の裏付けを示さなければ単なる宣伝に終わりかねない。
 乳幼児手当について、委員には「コストがかかり過ぎる」と慎重意見もあった。単純計算で年数千億円かかる財源をどう確保するのか。そんな疑念の裏返しだった。「コストが独り歩きすれば消費税議論につながりかねない」(委員の一人)。具体的な財源論議を封印した理由もそこにあったようだ。
 事実、14日に開かれた少子化に関するタウンミーティング(千葉市)では、川崎二郎厚生労働相が「今の財政のままでは(少子化対策は)できない。次の首相は国民に消費税をどのくらい上げるか話さなければならない」と語っている。財源論抜きの議論に、専門委の中からは「財源の担保がなければ実効性が伴わない」との不満も出た。

Posted by Naoko at 23:27 | EDIT | コメント (0) | トラックバック (0)| 気になるニュース
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