2004年01月15日

【医療】健診は医院、出産は大病院で連携 診療報酬優遇も検討


 妊娠中の女性が、定期的な健診は地域の個人医院で受け、出産は大規模病院でする、という選択をしやすくなりそうだ。これまでは急に大病院へ移ろうとしても、予約が取れないといった問題があった。厚生労働省は、連携先の大病院で帝王切開などをした場合の診療報酬を加算する改定も検討、新年度から医療施設の連携分娩(ぶんべん)を促す。少子化時代に、医療機関の役割分担を進めるとともに、出産をめぐる妊婦や新生児の事故も減らせると見込んでいる。

 妊婦が切迫早産などで不安を覚えたり、胎児の健康状態を心配したりして、かかりつけの個人の産婦人科医院から大規模病院での出産に切り替えようと希望するケースは少なくない。しかし、医師が転院を快く思わない、大病院が予約でいっぱい、などの問題に加え、健診の引き継ぎなどもスムーズではなかった。

 厚労省は、同省研究班の提案をもとに、個人医院と産科医3〜5人以上が常勤する大規模病院の連携・分担を目指す。(1)妊娠中の定期健診は個人医院、出産は病院(2)病院で出産後は再び医院へ戻る、という流れだ。

 医療機関同士が事前に契約書を交わして医療責任や出産費用の配分を取り決め、1人の妊婦を共同で診る。妊婦に肥満や糖尿病などのリスクがある場合には早めに大病院へ引き継ぐこともある。

 医院の医師や妊婦にとっては、態勢の整った病院に出産予定日や健康状態を把握してもらうことで、急な手術や容体の変化にも対応してもらえる、といった利点がある。妊婦が大きなおなかで遠い大病院へ健診に通う必要もなくなる。大病院側は、病院施設を有効活用し、出産取扱件数を増やすことができる。

 将来は、医院の医師が大規模病院の施設に出向いて出産を受け持つことも考えられている。

 02年5月から連携分娩に先駆的に取り組んでいる済生会神奈川県病院(横浜市)では、妊娠34週から出産までを担当し、出産の翌日には母子を再び個人医院へ戻している。

 中野真佐男産婦人科部長によると、「万が一に備えて安心して病院で出産できる」「産後は母子同室や食事などが整った医院で過ごせる」と好評で、これまでに240人以上が利用したという。

 「病院も妊婦さんの状態をよく把握できるので、医院からの救急搬送数も半減した。双方にメリットのあるシステムだと思う」と話す。

 医師の高齢化によって妊婦を24時間体制で診られない個人医院にとっても、役割分担によって健診や産後のケアを担うことができる。

 厚労省は、04年度、こうした連携を進めるために、モデル契約書を作成する。また、帝王切開などの際には医療保険が適用されるが、連携体制をとっている医療機関が診療報酬で優遇されるようにする。健診を主に担う個人医院に、健康保険から出る出産一時金が回るような仕組みづくりも検討課題に挙がっている。

Posted by Naoko at 00:00 | EDIT | コメント (0) | 気になるニュース
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